• ゲスト発言

第224回J.I.フォーラム 「取りあい」から「関わりあい」へ ―ふるさと納税を反省する―  2016/05/19(木)開催
ゲスト
景山 享弘(鳥取県日野町長)  

片山 健也(北海道ニセコ町長)   

土居 丈朗(慶應義塾大学 教授)   

コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

【議事概要】第224回「J.I.フォーラム」2016.05.19            於:アルカディア市ヶ谷

 

「『取りあい』から『関わりあい』へ -ふるさと納税を反省する-」

 

<ゲスト>

景山享弘鳥取県日野町 町長

片山健也(北海道ニセコ町 町長)

土居丈朗(慶應義塾大学 教授)

 

<コーディネーター>

加藤秀樹(構想日本 代表)

 

 

<概要>

224J.I.フォーラム「『取りあい』から『関わりあい』へ -ふるさと納税を反省する-」では、鳥取県日野町町長の景山享弘氏、北海道ニセコ町町長の片山健也氏、慶應義塾大学教授の土居丈朗氏の3名をゲストに迎えた。

 

加藤 今日は224回目のJ.I.フォーラムです。まず、ふるさと納税のごく簡単な現状や概要を私から、土居先生から活用方法や良いところ悪いところを、その後景山さんと片山さんにお話ししていただき、最後は自由にディスカッションをしたいと思います。

総務省のHPからの抜粋なのですが、年収700万円の給与所得者で扶養家族は配偶者のみ、という人が30,000円のふるさと納税を行った場合、30,000円の税金は、国に対する税金と、住んでいる自治体の住民税の両方から差し引かれます。具体的には少額切捨て分の2000円を除いて、自治体に払われる住民税22,400円と、国に払われる所得税5,600円が税額から控除されます。お金のやり取りとしては、住民税、所得税として払う税金のうち、寄附者は2,000円だけ元の自治体と国に払って、寄附した自治体には30,000円入るという仕組みです。ふつう給与所得者は毎月給料から源泉徴収されるのですが、寄附をしたときには確定申告という手続きをします。しかし、平成274月から、寄附をした人の代わりに寄附をされた自治体が確定申告をするという「ワンストップ」という制度が始まりました。寄附をした人にとっては手間が省けますが、自治体が手続きをすることによってこの28,000円すべてを住んでいる自治体で控除してしまうため、自治体間だけのお金のやり取りになってしまうという問題があります。

返礼品が自治体から寄附者に届けられます。寄附をした人は30,000円のお金を出すと同時に28,000円の税金を納めなくて済む。それと同時に返礼品円が来る。つまり、差し引き2,000円で返礼品がもらえるということになります。ふるさと納税の受け入れ自治体は寄附の30,000円をもらえる。それに対し、返礼品費がx円かかります。返礼品に関する色んな手続き、冊子やHPの作成、それらに関する人件費をy円として、30,000円から(x+y)円差し引いたものが手元に残ります。一方、寄附者の住んでいる自治体にとっては22,400円、国にとっては5,600円、併せて28,000円の減収ということになります。このxやyがどのくらいになるのかはまちまちです。平成26年の淡路市と平戸市を例にあげると、淡路市では、寄附金額が28,700万円、返礼品に使った金額xが1億円で、寄付金額と返礼品費の比率が36.5%。平戸市では、寄附金額が146,200万円、返礼品費用が32,400万円なので、比率は22%です。yにあたる経費は始めた年にある種の初期投資が必要なので、年によって金額は違うと思いますが、この例では、淡路市はyとして5,000万かかりxとy合計で15,000万、寄附金額の半分強は費用としてかかっている。平戸の場合には146,200万円の寄附の収入があって、xとyあわせて36,000万円程度の費用がかかっています。

平成26年度のふるさと納税の受け入れ自治体の人気ランキング1位は長崎県平戸市で146,200万円です。平成26年度に約5億円の寄附金額で9位だった宮崎県都城市は、平成27年度には36億円を貰ってトップになりました。また、10位の金額を比べると、平成26年度の鳥取県米子市は47,500万、平成27年度の岡山県備前市は18億円。平成27年度は全体的に寄附金額の数字が増えています。これは平成27年度から税額控除になる金額の上限が1割だったものが2割に引き上げられたというのが大きい要因です。金額が多額になると同時に返礼品が豪華になるということの相乗効果であったということだと思います。ふるさと納税への寄附金額は、平成25年度から平成27年度にかけて年々上がっており、平成25年度は145億円、平成26年度が389億円、平成27年度前半が453億円となっています。

自治体への寄附金額と控除額の関係として、例えば平成26年度は、自治体への寄附金額は141142億円、所得税と住民税を合計した控除額は109億円、差額の3233億円が純粋な寄附金額となるのですが、平成26年度の奈良県では、ふるさと納税の受入額よりも寄附金の税額控除額が多くなりました。東京や大阪、神奈川、名古屋など、どちらかというと大都市に住む人が田舎の町にふるさと納税をして、田舎が助かるようにという主旨だったはずなのですが、奈良県という過疎化が進んでいる町が多い県にもかかわらず奈良に住んでいる人は返礼品のいいところに寄附をして、結果的に奈良県全体としては赤字になってしまったという例です。

 

土居氏 私も財政学の立場でふるさと納税についてのいろいろな議論をさせていただいています。ふるさと納税は、地方間・地域間の税収格差を何とか直せないかという話が最初のきっかけでした。いろいろな税制の中で、地域間の税収格差をならす仕組みにはいくつか方法はあるのですが、住民税を払う場所を自分の住んでいる地域でなく別の地域にすることはできないか、という話があったもののなかなか難しいということで、寄附という形で対応するということになったのがふるさと納税の原型です。

本来寄附をする相手先は非営利法人であり、その非営利法人は寄附を集めていろいろな公益に資する事業を営む、そういう寄附に対して税制面で儲けを与えるというのが寄附税制の根本です。欧米に比べて日本では寄附文化が根付いていないので、寄附文化を促すということも寄附税制の狙いの1つとしてありました。そうすると、恩恵を直接的に求めるものでなく、基本的には見返りを求めないというのが大前提だと思うのですが、ふるさと納税ならではの返礼品という話が入り込んできてしまい、寄附税制のつもりだったのが返礼品という見返りを求めてふるさと納税をする人も出てきて、いまや返礼品合戦、そもそも何を目指していたのかという話で、いろいろと賛否が分かれています。

ふるさと納税という仕組みを寄附税制の中に位置づけるという意味においては、ふるさと納税はなくすべきでないと思っていますが、改めるべきところは改めた方がいいと思っております。では、返礼品を止めたら良いのかというと難しい。地元の特産品を返礼品で出すという場合、地元に特産品を作る民間の業者がいて、その業者に対して寄附を受けた自治体が商品を適正な価格で発注し買い取って、寄附してくれた方に返礼品としてお渡しするということになります。もし返礼品を禁止したら、民間業者からすると、返礼品という名目だけれども自分たちが作った特産品を多くの方々に知ってもらう、自治体経由であるけども買い取ってもらうというチャンスがなくなるし、自治体からしても、寄附の額が減るという可能性は否定できません。しかし志ある方はふるさと納税の仕組みを使って寄附をなさるということは十分あり得ますし、自治体は返礼品がないので志をありがたく全部頂戴できる。予算としては地方議会の議決を得なければいけませんが、受け入れた収入を何に使うかは自治体の自由なので、地元の民間事業者の産業振興だという名目でお金を使うのは許される行為です。すると民間事業者のためにいただいた寄附を使うという行為自体は返礼品を禁止してもできる話ですから、返礼品というもの自体に目くじらを立てるより、寄附としてもらったお金をどう使うかというその使い道について、寄附税制の主旨、公益に資するということに立ち戻って考えるという方法があるのでないかと考えます。返礼品というものがあろうがなかろうが、寄附としていただいたお金が集中的に特定の人へ恩恵を及ぼすという形でそのお金が使われるというのは問題があるということです。

ふるさと納税は通常の予算の執行の仕方とは違う形だったりするので、なかなか地方議会の出番がないかもしれませんが、ふるさと納税を受け取っているすべての自治体が、どれぐらいの寄附を得て、返礼品を返し、事務コストがかかっているか、などの透明性は検証されるべきで、不透明さがあれば正していくことが今のふるさと納税の仕組みで改めていくべきところの一つだと思います。

今日のテーマ「『取りあい』から『関わりあい』へ」に関連して、もともとは返礼品が目当てだったかもしれないけど、それをきっかけとして町や地域を知り、関係が深まっていくということがあれば、ふるさと納税のまた違ったいい面が出てくるだろうし、例えばふるさと住民票などをきっかけとして、以後関係を深めていきたいという志を持ち、色んな地域と関わっていくことも、これからますます求められると思っています。

 

加藤 返礼品の話がだいぶ出ました。今週月曜日の朝日新聞の記事によると、平成27年度の寄附の受け入れ金額は、前半は450億円あまりということを言いましたが、最終的には1,300億円から1,400億円ということで3倍超になっております。

千葉県の大多喜町が金券を返礼品として、元々はもらった寄附の7割だったのを今は6割にしたけれど、引き続き出しているということです。金券は如何なものかという意見もあり、また総務省からの通知にも関わらず、この記事によると千葉県の勝浦市や群馬県の渋川市でも取り入れの動きがあるそうです。会場に記事を書かれた朝日新聞の青山さんが来られていますのであとでまた話を伺いたいと思います。

 

景山氏 日野町は人口わずか3,370人、47%ほどと非常に高齢化が進んでおります。平成17年の9月、夕張市より1年先に財政破綻宣言をしようとしましたが、そのとき鳥取県知事をしておりました片山善博さんのおかげで思いとどまりました。我が町の実質公債費率は全国でワースト3位までいっておりましたので合併もできず単独存続している町です。しかし歴史、文化は素晴らしいものがあり、たたらの生産では大変栄えた時代もありました。

ふるさと納税に我々はまじめに取り組みました。ふるさと納税はいわゆる都市部の税収を地方に移す、というのがスタートラインだったと思います。ということで、当初は景品とかそういうものは一切出しておりません。しかし今見ておりますと、高額な景品で釣っている、カタログショッピングのような状態に陥っている、その町には全然関係のないようなものを送っている、というふうになっております。そういった中で私たち日野町も何もしないわけにはいけませんので、昨年からお返しの品を、寄附額の大体2割までで出しています。

寄附額の返礼が5割、6割、8割とあるのはちょっと無節操であろうと思います。今のやり方は少し行き過ぎではないだろうかということです。我々が返礼として使っているのはすべて日野町で産した物です。そうすることで日野町のお米の農家も助かりますし、町の観光協会も潤ってくるということになるので、やはり節度というものは大切だと思います。

景品を自粛するということだけでなく、この制度自体に問題があると思います。日野町では使途を明確にしております。基金を使う場合には議会で決議をしてから使う、そして使ったものに関してはインターネット上などで公表し、寄附をしていただいた方にも伝えるという形を取っています。

 

土居氏 私が問題提起をさせていただいた、ふるさと納税をめぐる透明性の確保、という点では非常に素晴らしいと思います。こういう取組みが、多くの自治体においても当たり前、スタンダードなものとなっていったらよいと思います。今私は研究者という立場でふるさと納税に関わっておりますが、情報を一網打尽にできるデータベースがないので、データを集めるだけで一苦労というような状況は、その透明性が必ずしもまだ十分にカウントされてないものもあるということで、実態が別のところにあるということが指摘できます。

 

加藤 土居さんのおっしゃったことも我々の先ほどの話でも、整理しようとしても数字に正確なものはないです。以前から、自治体への寄附に対する税額控除とかはありましたから、今自治体に寄附をして、これはふるさと納税です、あるいは、これはふるさと納税じゃないですと言っても、その区別をしていないから、外からは把握できないのです。日野町のように自治体側が透明性を確保すると同時に、中身を整理すると、本当に地域間の再分配の効果があるのかないのかがわかるのではないかと思います。

 

片山氏 納めたところに何が返ってくるかというのがマスコミの話題であったりしますけど、その一方で税をなくしている自治体も発生しています。ニセコ町は大体6億円強の税収しかない町です。住民税は私たちのまちづくりの根幹です。払いたくても払えない人が多くおられますが、そういった人も、100円、500円を積み上げて、2,0003,000円と貯めて税金を払っています。私たちにとって税金は神聖なものです。

住民の皆さんが明日の町づくりを心配しないで生きがいを持って生きられる社会をどう作るかというのが自治体の一番大きな役割です。そのために税を課し、住民の皆さんから税金を預かって、公共課題を解決するということをやってきています。したがって、その仕組みとして私たちは全部情報公開だということでやってきました。税務の職員も大体9799%の徴収率を確保しながらがんばっています。1,000円でも500円でも納めてもらうということの積み上げで滞納をなくしてきています。

こういう美味しいものがあるからこちらに住民税払います、ということでは税に穴が開きます。そんな中で本当に将来、税への信頼が確保できるのかということが私の正直な問題意識です。

私がこのふるさと寄附税制で一番危惧しているのは、NPOや福祉団体への寄附文化を壊さないかということ。お返しが美しいとか地域振興になるとか以前の問題として、税とは何かということを今一度考える必要があるのではないかなと思っております。

 

加藤 税金というのは、一人一人から徴収するものですから、税金がどうしても払えない人もいる。先ほどの例での奈良県のようなところでも合計すると流出しているわけですから、ニセコで500円、1,000円と集めたものの中で、お金を持っている住民が抜けてしまうと大変なことになるわけです。こういう状況を生じさせているというのは事実ですから、これはやはりきちんと考えなければいけない。これは制度としての欠陥とも言えるのではないかと思います。

。税金というのはどういうものかと、寄附というのは本来どんなものかを、このふるさと納税の是非を通して考えるべきなんでしょう。

 

景山氏 今のふるさと納税はちょっと異質になってきたのではないかと思います。私たちの町も16年前に鳥取西部の大地震があって、大なり小なり全戸被害を受けましたがその時も全国から募金をいただき、その気持ちを一つの拠り所にしていました。寄附というものは本来そういうものであると私は思います。ふるさと納税は今や寄附でなく、完全に地域間競争になっております。本来都市で働いている人が自分のふるさとに心配で幾ばくか、という気持ちがこれでは伝わらない。通信販売みたいになっていることに非常に危惧している次第でございます。

 

片山氏 このままの制度では、本来みんなを平等に助け合う国家戦略である税の基盤を揺るがしかねない大問題ではないかという問題意識があります。ふるさと納税制度をみんなで盛り上げていければ、ふるさと住民票という仕組みも大きく動くのかと思います。

 

加藤 私が先ほど話題であげた月曜日の朝日新聞の記事を書かれた青山さん、もし差し支えなければ、今までの議論等でご意見いかがでしょうか。

 

青山氏 ふるさと納税はふるさとと言いながら、ふるさとへのお金の流れを確保する制度的なものは何もありません。これは県民税とか所得税とかと違って返礼品だけの問題といっていいのか、この制度をどう良くしていこうかという答えがなかなか見い出せていないので、もしお二方にご意見があればお伺いできたらと思います。

先ほど土居先生から地域経済の振興策として使うことは妨げられないとありましたが、これは本当に長期的に見て地域経済を振興させるものなのかというところがやや疑問です。また、返礼品は2,000円程度と思ってみんな受け取っているので、本来は価値あるものを作っているのだとしても、それを返礼品でなく10万円や5万円で買うのかといったら、おそらく消費者は買わなくなると思います。ブランド力も落としているのではないかと思いますがその辺りもご意見伺えたらと思います。

 

片山氏 日本の国自体が今大変な財政で、地方税の確保が社会的に大きな危機になっている中で、地方税の総額がなくなることをやっているわけです。それが寄付に置き換わり、そして一部を地方交付税で多少埋める仕組みを講じる。このようなことをずっとやり続けているのには危機感を私は感じます。

返礼品でよそに参加したい気持ちも正直少なからずありますが、それでもやってないのは、寄附をあてにして行うまちづくり、地域の文化は真っ当かということからです。これからの地方創生は『自主自立』。自分たちが経済をどう回していくかというのが大きなキーワードです。そんな中で地方分権とまったく相容れない制度設計になっているのではないかという思いもあるので、将来我々が基礎自治体としての教示をもって社会正義を実現していくというのが大きな課題だと思っております。ただ、その社会正義は実現するのだろうかという疑問が私も晴れなくて、そういう面では踏み込めない、というのが正直な話です。正解はないのでみんなが工夫するしかないのかと思います。

 

景山氏 私の町は地元にあるものをほんの気持ちとしてお返しをする程度です。しかしながら鳥取県におきましてもいろいろな市町村で工夫をされております。人気なのはマツバガニ、高級和牛。しかしながら表面的には寄附額ばかりが外に出ていっている中で本当に地方維持はやっていけるのかと私は非常に危惧しています。

日本はバランスを取って、地方も、中央も、という国だと私は思っています。ですがこのままいくといびつな形になってしまうのではないかと思います。特に激しいのはここ一年です。今まではそれなりにバランスよくいっていたのですが、中身を変えすぎて、富裕層が有利になるようなものになってしまったと思います。

 

加藤 お二人非常に本質的なことおっしゃってくれたのですが、行政、自治体というのは原則としてそこの住民からの税金で賄うわけですから、その上に寄附がくればいいのです。行政本来の事業を寄附で担うのではなくて、行政で足りない部分や行政では必ずしも適切ではない部分を民間の団体が担う、それを寄附で賄うのが本来の形だと思うのです。ところが、民間が公共的なことをやるための寄附が、この寄附税制の結果疎外されている面もあると思います。我々民間団体は返礼品なんて出せないし、チャリティーだって返礼品に比べれば本当につつましやかなものですし、多くのボランティア団体はそんなもの出せないわけですから、ふるさと納税の寄附というのはなにか違うだろうということになっているのだと思います。

長い目で見て地場産業の振興になるかどうかというと、多くがそうなるという保証はないと思います。返礼品を選ぶ人というのは物と返礼品比率で選んでいるというのが現実だと思いますから、そういう例を見るとやはり不健全な部分があります。

ふるさと納税は本来の主旨からずれてきて、結果取りあいになっている。それに対し、取りあいではなく関わりあいをもっと増やそうということで、ふるさと住民票の提案です。ふるさと住民票でどんなことができるかというのを軽く紹介していただきます。

 

景山氏 我々は昨年9月の補正予算でカードを作る予算を立て、222日に交付式を行いました。カードを持ってくれている、日野町を心配してくれている方々へ、日野町の情報を町広報で送ったり、町の計画に対するパブリックコメントに参加してもらったり、町の公共施設などを町民と同じ使用料で提供したりします。カードを持っている方々には、日野町の応援団になっていただきたいのです。発行にはお金もかからないし、申込書だけ送っていただくことになっています。日野町では町民3400人に対して300人を目標に取り組んでいます。先月末現在で44人の申し込みがきています。ふるさと住民票がいずれはふるさと納税につながっていけばありがたいと心の片隅に思っております。

 

加藤 例えば、年間のかなりの日数は自分の故郷にいる、あるいは相続手続きのためにしばらく故郷に帰らなければならない、というときにふるさと住民票を持っていれば町の外でも手続きがやりやすくなるとか、パブリックコメントにふるさと住民票を持っている関係住民も参加できる、さらには住民投票もやってもらうとかあっても面白いかもしれない。住民同士ではしがらみもあって自分の思う通りの投票はしにくいかもしれないが、外の人であればある意味で冷めた目で判断ができる。「よそ者」「馬鹿者」「若者」の、よそ者の役割りを果たす可能性があります。ニセコ町では今外国の方が多いから、しばらく暮らしている外国の方が住民票をもって政治参加したらまた新たな可能性があるかもしれない。この少子化の中で人を増やそうと言ってもこれこそ取りあいになりますが、関わりあいのある人を増やそうと言ったらプラスになります。お金とか人間の数だけでなくて、知恵とかを合計して増やすことはできるじゃないかという主旨です。

徳島県の佐那河内の村長は、ふるさと住民票を検討中とのことですが、何かアイデアやご意見があればいかがでしょうか。

 

岩城氏 当村でもふるさと住民票のことを前向きに進める形で話しております。ただ、住民になっていただいてから、私たちの村でどういったサービスができるのかと言うと、イベント等あまりやっていないために今ふるさと住民票を作っても広報誌送る程度のものにしかならないので、1から始めていきたいと思っておりますが、住民票を作る段取りで進めております。

 

加藤 ふるさと納税もふるさと住民票も、何か見返りのいいことを期待するのは本当は違うと思います。自治体が何か提供する時、何がサービスできるかなあというところからはあまりスタートしてほしくないというのが本音です。この町や村に対して何ができるかなという気持ちを持っていただける人に入っていただきたいと思います。

少しご意見なりご質問なり伺いたいと思いますがいかがでしょうか。

 

質問者1 ふるさと納税で税収が増えてしまったら地方交付税から引かれてしまうのではないかと私は理解しているのですが、実際の地方に対する税の分配の仕組みを教えていただきたいです。

 

片山氏 ふるさと納税で寄附された町や市は、地方交付税として算定する扱いのものにはならず、純粋な寄附金として入りますので、それぞれの自治体が自由に一般財源として活用できるものとなっています。交付税とは全く別物としてカウントされますので寄附金が増えたからと言って交付税が減らされることはありません。

 

質問者2 兵庫県豊岡市で地方創生の仕事をしています。豊岡市に関わっていただいて豊岡の魅力を高めるようなこと、そういった関係や関係人口を増やしたい、何か繋がりを作りたい、もっとファンになってほしい、そういう手段としてふるさと住民票などといったようなものが使えないかなと思って今日は参加しました。何かそのヒントになるようなものが戴けたらなあと思うのですがいかがでしょうか。

 

景山氏 地域おこし協力隊という制度があります。これは3年間の一時的なものですので、その後はどうするかが問題になってきますけども、即効的なもので、かなり効果が上げられています。

ふるさと住民票を使って人脈を発掘していくという方法もあると思います。今世の中は変わってきていて、地方で自分の力を発揮してみたいという人がけっこういます。その人たちをどう捕まえるか。ふるさと住民票はそういうところでも活用できるのではないかなと私は思います。

 

加藤 百姓という言葉は、元々単位に農民という事ではなく、農作物にまつわる様々なことをする人々という意味でした。そういう意味で、今の若者の中には現代版百姓と呼べる人たちがふえてきたという話を聞きました。友達が作った会社を週何回か手伝う、自分でも何か仕事とかボランティアをやっている、合計してそこそこ食べていけるくらいのお金も稼ぐ、大都会だけじゃなくて地方の小さい町や村で、だったりする。それですごく充実した気持ちを持っている若者が多いし増えているそうです。そこにいろんな可能性があると思いますし、そういう人にこそふるさと住民票を持ってほしい。

何かいいことがないと、と思う人も大勢いるとは思いますけど、自分で何かやりたい、と思う人もいます。

茨城県行方市で地方創生の総合戦略作りのお手伝いをする際、無作為で3,000人の住民にはがきを送り、応じてくれた約100人の住民による100人委員会というものが作られて、総合戦略作りの議論を行いました。終わった後意見を聞いたら、半年間こんなに自分の町について考えたことはなかった、すごく楽しかったという人が結構多いのです。

例えば、豊岡にきて何かをやってもらう。まずはふるさと住民票を出してもらってふるさと住民で会を作って豊岡について議論すれば、楽しかったという風になることも大いにあり得ると思うので、そういう何かがあるといいと思います。それがきれいなカードだったりするとその時点で楽しいかもしれないし、ゆくゆくはふるさと住民票を持っている人同士で横の交流、つながりができる可能性があると思います。

実際に100人委員会に参加された方がいらっしゃいます。何かありましたら是非お願いします。

 

行方市100人委員会メンバー 茨城県の行方市から参りました。100人委員会に去年参加させていただきました。

行方市も、100人委員会を開くということには、お金も勇気も相当必要だったと思います。職員の方たちが休日出勤して頑張っている姿を見て、何か一緒に出来ることがあるといいなと思いまして、委員会は終わりましたがまだまだこれからも関わっていけたらいいなと、何人か有志が動いているという状況です。

 

加藤 こんないいものがある、お金をあげる、だから寄って来てよ、というのはやっぱりちょっと寂しいですよね。そうではなくて、こういう風に、関わってみたら楽しかった、だからもっと何かやろうよというところに、可能性があるのだと思います。是非、そういう可能性を大いに考えて、広がっていったらなあと思います。

それでは今日はこれで終わります。ありがとうございました。

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