- 読者の声
タイトル:【No.804 】 「いじめ」について(整理)
発行日:2017/04/20
読者の声:
◆ 埼玉大学名誉教授 小野五郎氏(2017/04/21)
読者の声
お腹立ちは一々ごもっともです。みんなが分かっていることのはずなのに、幾ら指摘しても改善されない。
それは、「いじめ」「原発事故」という表面に現われた事象以上に、水面下で静かに進行してきた日本社会そのものの抱える病症が惹き起こしたものなのだと思います。
それを何とかしなければ事は動き出さない。といって、当事者としては、そんな悠長なことを言ってはおられない。
冷たい言い方ですが、この種の話は、環境問題同様、まずは一人一人が自分の出来ることをどんな些細なことでもいいから始める。言い出す方も、それに期待し地道に活動を続ける以外は無いでしょう。
これまで数を頼りに力づくで物事を推し進めてきた団塊の世代が造った現代社会システムは、米国と同じでとかく数を纏めやすい経済優先に陥りがちとなり、個々人が合理主義を信奉する一方で、より人間として重要な「思いやり」などの気持ちなどを現代日本から消し去ってしまった。
その中で、古きものは良いも悪いも「因習」などとして葬り去り、それまで社会を円滑に動かしてきた「思いやり」などに依存すべき問題も、すべて政府ないし制度に押し付けるようになった。
そんな中で育った人たちが官僚・経営者のみならず教員の中でも多数を占めるのが今日の状況なのですから、それをそのままにしておいて幾ら笛を吹いても踊る者が出る訳がありません。
残念ながら、法曹界もしかりです。
もっとも、全く光明が見えない訳ではありません。
若い人たちの中には、少しずつではありますが、上の世代を反面教師とし、より人間らしい生き方を目指す動きが現われたように思います。
それらを励みにされんことを。