• 読者の声

タイトル【No.852】成長の芽を摘む国ニッポン (後編)― 煩わしい「公募様式」を何とかして!―
発行日:2018/03/29
読者の声

◆ 金子 弘氏(2018/07/08)

「成長の芽を摘む国ニッポン(後編)―煩わしい「公募様式」を何とかして!―」に対する読者の声

国立大学法人等の収入構造について-運営費交付金に着目して-

文部科学省の科学技術・学術審議会学術分科会「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」(平成27年1月)において、基盤的経費の減少による研究環境の悪化が指摘されている。大学等での学術研究の特質は教育と研究の一体性であることから、運営費交付金に着目して、国立大学法人等の収入構造の現実を明らかにすることを目的とした。

会計検査院「独立行政法人及び国立大学法人等の自己収入の確保等に向けた取組の状況について」(平成27年12月)によると、42の教育研究業務に必要な機関として附属病院を設置している国立大学法人(以下「病院設置型国立大学」という。)の平成21~25年度間の金額の推移は297億9,400万円の大幅な減額となっているが、単年度の収入に占める割合は30.0~35.0%の間で推移している。この背景には、病院収入が平成21~25年度間で1,892億6,000万円の大幅な増額、単年度の収入に占める割合は28.9~33.9%の間で推移していることがある。(15頁表6-2、19頁表7-2による。)

一方、48の附属病院を設置せず教育研究業務のみを行っている国立大学法人及び研究業務のみを行っている大学共同利用機関法人(以下「教育研究型国立大学」という。)の平成21~25年度間の金額の推移は1億3,400万円の増額となっているが、単年度の収入に占める割合は53.8~62.6%の間で推移している。(15頁表6-2による。)

こうしたことから、国立大学法人等の収入構造は、病院で収益を上げる病院設置型国立大学、運営費交付金への依存が高い教育研究型国立大学となっているといえる。従って、学術研究の特質である教育と研究の一体性が安定的・継続的に行われるには、教育研究型国立大学間で入学定員の削減を伴う研究科、学部等の整理を行った上で、病院設置型国立大学と統合して、運営費交付金の集中投下を図るべきである。



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