• 構想日本の活動

年金制度


2001/03/26(月)
税方式でも国民の負担は同じ

-公平かつ効率的な財源調整を選択すべき-

《Q1》 年令要件のみで給付が受けられる制度は、自立自助の思想、リスクに対し事前に備えるという考え方に逆行しないか。

・居住要件で年金給付をするのは、長期間住んでいれば、就業し、税金を納め、子を養育し、何らかの形で社会に貢献してきたという考え方に立つもの。所得のある者にも義務教育などは普遍的に提供されているが、「皆年金」もこれと同じ。

・基礎年金は完全な賦課方式になっており、必ずしも事前準備の考え方になっていない。 

・拠出を前提とする「社会保険」の哲学は、国民誰でも老後の基礎的な生活を保障する「皆年金」の哲学とは相容れないものであり、これは、「逆行」するかどうかの問題ではなく、国民の選択の問題。 


《Q2》財政制約により給付が制限され、生活保護のような救貧的な制度にならないか。 

・税方式により国民皆年金を実現している北欧、カナダ等の国の制度は、生活保護といった性格のものではない。資力調査(ミーンズテスト)のある国はオーストラリアだけであるが、オーストラリアでは、国民の7、8割が年金給付を受けており、普遍的な制度となっている。 

・現行の基礎年金でも、第3号被保険者は、掛け金は払わないが、ミーンズテストはない。既に税方式の考え方が取り入れられている。 

・高額所得者には、年金を含めた所得の合計を課税対象にすれば、実質的に年金額を削減することは可能であり、このような仕組みの方が合理的である。 


《Q3》給付に必要とされる巨額の財源を税により確保できるか。 

・国民皆年金を目指す限り、社会保険方式であろうが、税方式であろうが、負担すべき総額(基礎年金の額×高齢者の数)は同じであり、問題はこれをどのように負担すべきかということである。能力(所得又は消費)に応じた負担か、現在の国民年金のように所得の多寡にかかわらず同一の負担とするか、どちらが公平で効率的かという問題である。 

・税方式にすれば、現在の基礎年金部分の保険料負担はゼロになる(厚生年金の保険料でいえば、4%安くなる) 

所得税や消費税も改善すべき点はあるが、公平性や徴収コスト等の面において、保険料より優れている。現在では、国民全体の年金保険料負担は30兆円で所得税(16兆円)や消費税(12兆円)を凌いでおり、その負担は限界。 


《Q4》給付と負担がリンクしなくなり、給付増のみを求める圧力が働くなど、財政規律が働かないのではないか。 

・そもそも現在の基礎年金等我が国の社会保険制度は、給付と負担の関係など明確ではなく、また、財政規律も働いてきたとは言い難い。 

・保険料は貯蓄と同じであり、国民が負担しやすいと思うのは錯覚。基礎年金は完全な賦課方式となっており、保険料はその時の高齢者の給付に使われている。 

・あくまでも、給付と負担がリンクする社会保険方式にこだわるのであれば、現在の制度を本来の社会保険の姿に戻すべきであり、また、サラリーマンが払った保険料を国民年金にために使うといったご都合主義は直ちにやめるべき。 


《Q5》所得のある者でも国民年金の保険料を払わない者がいる。誰でも税金で保障するのは悪平等ではないか。 

・保険料の負担は逃れることができても、所得税や消費税の負担を回避することは困難。現行の国民年金の保険料は実質的に強制徴収されていないので、不公平。 

・低所得以外で保険料を払わないのは、制度に対する不信感。これを放置すると、社会保障の根幹が揺らぐ。 

・今後の競争社会おいては、最低限の部分は国により保障する(セーフティネット)一方、それ以外は可能な限り自助努力に任すべき。老後は、皆年金制度のみで保障するものではなく、2・3階の年金や貯蓄等とも併せて支えるもの。公私の役割分担を明確にして、国民の将来に対する不安を取り除くことが必要。 


《Q6》高齢者医療や介護保険も税方式とするのか。

・国民の選択の問題であるが、現在最も深刻な問題を抱えているのは国民年金(基礎年金)であり、また給付額(人数×年金額)が算定しやすいということも考えれば、まずは国民年金(基礎年金)から、その財源を税に変えることに合理性がある。


《Q7》厚生年金等について、事業主が負担している保険料(基礎年金相当部分)が、個人の負担に置き換わるのではないか。 

・事業主負担分の保険料は、人件費の一部であり、その引き下げは、当然、労使交渉の場で賃金引き上げ要求となる。 


《Q8》現行方式からの円滑な移行が可能か。

・現行制度において保険料を正しく納めてきた被保険者と未納期間のある被保険者に、新制度により同額の給付を行なうことは不公平であることから、未納期間のある被保険者には、本来給付すべき年金額から未納期間相当分を削減する等、一定の経過措置を行なえばよい。ただし、税方式化した場合の給付要件を40年居住とすると、完全な移行には40年かかることになる。



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