• 構想日本の活動

公会計制度


2000/08/01(火)
【記事】共同で全国初の包括的な財務諸表を作成

ASHITA2000.8月号

 「民」の立場で政策提言を行っている独立・非営利のシンクタンク「構想日本」は、秋田県、岩手県、高知県及ぴ群馬県太田市と共同で、パランスシートと行政コスト計算書の2つを柱とする包括的な財務諸表を作成し、公表した。

 行政コスト計算書は、政策ごとの減価償却費や利子、退職手当等を配分して各行政サービスにおける“実際にかかったコスト”を算定し、施設等の利用者負担と、国庫支出金や租税等による国民・住民負担を明らかにしているのが特徴で、全国初の試み.住民に対する分かりやすい財政状況の公開が図られるとともに,行政の効率化、行財政改革に活用できると期待されている。

 構想日本では、昨年から秋田県、岩手県、高知県等9県(地方自治体の発生主義会計方式に関する研究会)及ぴ太田市等13市区町(地方公会計研究会)と、それぞれ実際に活用できるバランスシートの作成をめざし、共同研究会を開催してきた。その特徴は、各自治体が構想日本に委託し財務諸表を作成するのではなく共同で研究を進め、各自治体職員自ら作成していくことを目標としている点にある。その成果は、今月2月に「地方自治体の発生主義会計方式に関する研究会」連続研究報告書第一号として公表されている。

 これまでの研究によって、住民の受益に伴うコストと負担の全体は、ストック情報とフロー情報の両面から捉える必要があるとの認識から、4自治体においてパランスシートと行政コスト計算書を柱とする「2つのバランス」が作成されたという。今回作成されたバランスシートの特色は、簡便法ではなく、財産台帳に基づき作成していることだ。資産を評価する場合、多くの先行自治体では決算集計方式を採用しているが、決算数値の累計額にすぎず、その方法では中身が不明で、個々の財産評価を行うことができないとの問題があった。

 そこで、台帳方式にチャレンジ。限られた時問を考慮し、台帳1枚1枚整備するのではなく、台帳の総括表を取りまとめて評価額とした。その結果、無駄な資産と有効な資産の区別などが具体的にできるようになったという。

 有形固定資産については、土地は近傍穎似地の固定資産評価額、建物は損害保険契約での建物評価額、それ以外は取得原価で評価。大蔵省令等の耐用年数に基づき残存価格0の定額法で減価償却を行っている。

 負債では、年度末に在籍する全職員が自己都合退職した場合に必要な退職手当額を退職給与引当金として計上している。

 一方、行政コスト計算書は、会計期間中に発生たすべての費用と収益(税、科金)の比較一覧表だ。1年間に発生した政策ごとの「実際にかかったコスト」を算定し、そのコストを誰が負担するのかを問いかけている。利用者負担率、国庫等負担率、租税依存率を政策ごとに明らかにすることで、財政の基本的な姿勢を示した。企業会計の損益計算書を工夫して作成したもので、米国連邦政府と同じス
タイルをとっているという。

 構想日本では、9県、13市区町との共同研究をさらに進めるとともに、今回作成しなかった自治体も含め、さらに充実した財務諸表の作成と自治体職員のスキルアップをめざしていきたいとしている。



お問合せ先: 構想日本
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