• 構想日本の活動

国会/内閣


1997/08/31(日)
内閣機能の強化について

内閣総理大臣のリーダーシップの強化 

(1) 内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権の強化 

【考え方】
 政治のイニシアティブによる政策の優先順位決定、タテ割り行政の打破(総合調整機能強化)、危機管理におけるリーダーシップの確立、等を図っていく上で、内閣総理大臣のリーダーシップ強化は喫緊の課題である。
 内閣総理大臣の行政に対する指揮監督権については、日本国憲法では、「内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」(72条)と定め、首長たる内閣総理大臣に強い権限を与えている。それにもかかわらず、内閣法では、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」(6条)と定め、その指揮監督権に「閣議決定」の枠をはめることにより、憲法に謳われた内閣総理大臣の権限を大きく制約している。
 そこでまず、憲法の趣旨に則って、上記の「閣議決定」要件を削除するよう内閣法6条を改正することを提案する。同時に、6条改正の趣旨を活かすために、各大臣による行政事務の分担管理を定めた同法3条1項についても、各大臣は、あくまで「内閣総理大臣の指揮監督の下で」行政事務を分担管理する点を明確化する。 

【法律改正案】(取消線は削除、下線部は追加を示す。以下同じ)
第3条第1項 各大臣は、内閣総理大臣の指揮監督の下で、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。
第6条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。 


(2) 内閣総理大臣の閣議における基本方針発議権の明確化 

【考え方】
 上記(1)と併せ、内閣の意思決定機関である閣議において、内閣総理大臣の権限を内閣の首長たる立場(憲法66条1項)に見合ったものにする。具体的には、国家運営上の重要施策に関する基本方針(行財政改革、予算編成、経済政策、対外政策、安保政策等)について発議する権限を法律上明確に位置付けることを提案する。 

【法律改正案】
 第4条第3項 内閣総理大臣は、内閣の首長として、その重要政策に関する基本方針を発議することができる。(以下項ズレ) 

【考え方】
 内閣総理大臣を含め、内閣自身の意思決定能力を高めるには、閣議を活性化することが不可欠である。しかしながら、現在の閣議は法的根拠を有しない事務次官会議の追認機関、決裁文書への「サイン会」となってしまっている。こうした閣議の形式化、形骸化の理由として、次官会議で全会一致で了承された議題でなければ閣議にかけられない、閣僚が議題にないことを発言すること(不規則発言)は原則として認められない、という慣行の存在が挙げられる。そこで、閣議を閣僚による実質的な討議、意思決定の場とするため、これらの慣行を改める旨を閣僚レベルで確認的に申合わせることを提案する。 

<申合わせの案>
「今般、内閣法が改正されるに至った経緯等を踏まえ、閣議の運営に関し、議事のより一層の充実を図る見地から、以下の事項につき申合わせることとする。
一、閣議の議題については、前もって各省庁の事務次官レベルで了解を得たものに限らないこと。
二、従来、議事における不規則発言は事実上許されていないが、今後はこうした扱いを取止め、閣僚が閣議において自らの判断により発言をなし得ること。」 

内閣官房の総理大臣補佐機能の強化 

(1) 内閣官房の機能強化(企画立案権の付与) 

【考え方】
 内閣総理大臣の行政への指揮監督機能を確固たるものとするために、内閣の補佐体制を強化する必要がある。その際、特に重要な総合調整機能について、内閣法では、「内閣官房は、…閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整 …に関する事務を掌る。」(12条)と定めているが、これは「必要が生じた際に受動的に調整を行う」ものと解釈されており、内閣が「官」をリードしていく上での不十分さは否めない。そこで、内閣官房の所掌事務として「内閣の重要政策に関する企画立案」を位置付ける方向で、内閣法12条及び14条の3を改正することを提案する。 

【法律改正案】
 第12条第2項 内閣官房は、閣議事項の整理その他内閣の庶務、閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び並びに内閣の重要政策に関する企画立案及び情報の収集調査に関する事務を掌る。
 第14条の3第3項 内閣審議官は、命を受けて閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び内閣の重要政策に関する企画立案に関する事務を掌る。
(注)第14条の3は、下記(2)の改正により、第14条の4に移動 


(2) 内閣官房スタッフの拡充 

【考え方】
 現在の内閣官房の組織を見ると、その枢要ポストを有力官庁からの出向者が占めているため、結果として省庁の縦割りを打破できず、総合的な見地からの調整ができていないのが実情である。こうした弊害は、内閣官房がプロパー職員を育成、活用していくことによって是正されていくとも考えられるが、これも官僚組織の肥大化につながる恐れがある。即ち、キャリア公務員以外の人員の拡充によって内閣官房の機能を強化することが望ましい。そこで、まず、現在三人以内と限定されている内閣総理大臣補佐官の定数を十人以内に増やすことを提案する。また、上記(1)により新たに「内閣の重要政策に関する企画立案」を担当することとなる内閣審議官を特別職国家公務員とし、現在内閣官房組織令により二十六人とされているその定数を四十人に増員して、これを内閣総理大臣の自由裁量により任用できることとすることを提案する。 

【法律改正案】
 第14条の2第1項 内閣官房に、内閣総理大臣補佐官三人以内十人以内を置くことができる。
 第14条の3第1項 内閣官房に、内閣審議官を置く。
 第2項 内閣審議官は、命を受けて閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び内閣の重要政策に関する企画立案に関する事務を掌る。
 第3項 内閣審議官の任免は、内閣総理大臣が行う。
 第4項 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条第一項<服務の根本基準>、第九十八条第一項<法令及び上司の命令に従う義務>、第九十九条<信用失墜行為の禁止>並びに第百条第一項及び第二項<秘密を守る義務>の規定は、内閣審議官の服務について準用する。
 第5項 内閣審議官の定数は、政令で定める。
(注)現行の第14条の3は内閣審議官を除いた形で第14条の4に後ズレ。また、国家公務員法第2条第3項に内閣審議官を追加。 



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